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高森明勅
2023.4.14 12:21皇室

「女帝」のご婚姻相手として「5世王」と「凡人」が同じ扱い

先に紹介した『令集解』に書き込まれた注釈
(新訂増補國史大系本〔第2〕、519ページ)では、
「女帝」が(継嗣令「王娶親王」条に違反して)「5世王」や
「凡人」と婚姻されていた場合、そのお子様は親王・内親王ではなく
「凡人」となるのか、という疑問がわざわざ取り上げられていた。

これに関連して、先日のブログ(「『研究史断片』について
私見を補強する貴重な指摘が届いた」4月12日公開)で述べた
内容に大急ぎで付け加えると、「女帝」のご婚姻相手が“男系男子”
であるはずの「5世王」(天皇からの血縁が5世で、血縁の遠さゆえに、
“王”という称号を名乗ることは許されていても、皇族〔皇親〕
ではない)だった場合と、「凡人(庶民=一般国民)」
だった場合とが、全く同列(!)に扱われている事実に
注意する必要がある。

このことは、血統以上に皇族であるか、それとも皇族ではないか、
という区別の方が“より”重視されていたのを示す。
重大な事実だ。

ちなみに、いわゆる旧宮家系子孫で養子縁組プランの対象になり得る
人物の場合は、5世どころか22世以上の血縁の遠さであり、
親の代から一般国民なので、勿論、「凡人」に属する。

週刊誌では、敬宮殿下と旧宮家系男性(=「凡人」)との
政略結婚を妄想して、男子がお生まれになれば「天皇“直系(?)
”の“男系(?)”男子」、などと支離滅裂なことを口走っていた
男系限定論者を見かけたが…。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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